会話

亜弥さんのジャズを聴きたかったから地下鉄に乗るのをやめた。
イヤホンから直接脳内に流れ込む歌声は自分を取り巻く空間を彼女の癒しの領域に創りかえてゆく。
いつもより少し上を見上げながら歩いている自分に気づいた。
連立する建物や街路樹が亜弥さんの歌声に溶けこんで新鮮な輝きを魅せている。
まるで亜弥さんの形成した空間で彼女と会話してるよう。
こんな一瞬が良い。