かの事務所について

亜弥さんはひとりでアイドルという概念を蘇らせたように思われているけどそうじゃない気がする。
もし事務所が彼女に過去のアイドル望んだのなら上手くはいかなかった。
方言を直され、笑い方から、口調から、物腰に至るまで事務所の思う可愛らしさを押し付けられたマリオネットだったなら長続きはしなかったと思う。
彼女の事務所は女の子の内面から溢れ出す輝きを大切にしてくれた。
可笑しい時は笑えばいいし、悲しい時は涙すればいい、ありのままの自分が表現出来るオート・マタを彼女に望んでいた。
亜弥さんが未熟だった頃、彼女のライブには先輩が付き添ってくれていた。
たった一人でライブを催す重圧に潰されてしまわないようにという事務所の思いやりだったのだと思う。
商品同士が助け合う事でお互いを成長させていくというシステムをあからさまに採用しているのは彼女の事務所だけだと思っている、彼女がここまで成長出来たのは土壌がよかったからだ。
そして事務所は亜弥さんに人間になる事を望み始めている。
ピノキオが魔法によって人間になれる資格を得たようにアイドル(人形)から人間になるためにはきっかけが必要だった、だからマスコミを巻き込んであんな大袈裟な余興を打ったのだ。
結果、彼女はアイドルという殻を脱ぎ捨てて様々な可能性に挑戦出来るようになった。
事務所の方針が理解できなくて不満に思う事もある。
でも実際は、何になりたいか、何処まで昇り詰めたいかという本人の意思を尊重してくれる素晴らしい事務所なのではないのだろうかと考えた。