眼差し


松浦亜弥の演技の真骨頂は彼女の瞳の動きだと思えるわけです。


俯き加減で何か物思いしている表情からすっとカメラ目線に変化する。
いきなり真っ直ぐな眼差しがこちらに届く。
心の中を見透かされるような視線はヲタじゃなくても居心地の悪いものです。
その時点で観る側は完全に彼女のペースに惹き込まれてしまったといっても過言じゃない。
そこで彼女がどんなしょーもないセリフを呟いたとしても何がしか感動してしまうのはその所為です。


午後ティーのCM「春」篇が流され始めました。


不意に背後から抱きすくめられたアヤの驚き、戸惑い、鼓動の高鳴り、その全てを亜弥さんは宙を彷徨うような瞳の動きだけで表現しました。
その後、抱きすくめられたままこちらを見つめる(実際はヤストを見ている)カットに続くのが悔しいくらい秀逸です。
あの一瞬だけは誰もがCMである事を忘れているんじゃないのかなあ。


シンノスケに嫉妬はしません。
彼はああするしかなかった。


真っ青な海、
さざなみ、
遠くに見える船影、
汐の香りをのせて来る海風、
海鳥の声、
陽光が反射して輝く砂浜、
そして、自分の目の前には大好きなアヤの背中。


抱きしめたいという衝動が彼を突き動かしてしまったのですから。