幸せの連鎖

松浦亜弥シングルVクリップス(2) 発売日のこと。


いつもの店に入るとレジで店員とオトコのコが話をしていた。
18歳くらいだろうか。


店員とは顔見知りらしくふたりの会話がはずんでいた。


ふと、彼の手元を見ると、きょう発売されたばかりの松浦亜弥のDVDが
置かれている。


   そうか…
   このコもあややのファンなのだな。


わたしは、何故か幸せな気分になった。


ひとしきり話しただろうか、彼が店を出ていった。


わたしはレジに向かった。


   ”今の彼と同じ松浦亜弥のDVDをください。”


店員と目が合った。
彼はやさしく微笑んだ。
棚から目当てのものを取り出しカウンターの上に置いた。


   ”これですね。”


わたしは頷き精算を済ませた。


いつの間にそこにいたのか、店にはもうひとり客がいた。
20歳を越えたくらいの男性。
大学生なのだろう。


店を出ようと出口に向かう時、
すれ違いざまに一瞬だけ彼の顔が見えた。


彼は微笑んでいた。
幸せそうに。


先ほどのわたしがそうだったように。