もう一つの感想


亜弥さんの名古屋ライブの最中、もう一人の自分は全く別の事を考えていた。


自分は何故ここにいるのかということ。


目の前で客席を煽っている亜弥さんも、
身体中にビンビン伝わってくるライブならではのサウンドも、
ステージに向って巻き起こる歓声も、
その全てが現実でない気がしていた。


現場担当さんには理解出来ないと思う。


在宅系の自分は同じライブを二度と観る事はない。
その一回が全てだし、たった一回だからこそどんなハプニングが起ころうと絶賛できるのだ。
今回、自分はこのライブの前夜祭を経験している。
それ故、同じライブを追体験している気分になっていた。
意識が錯覚を起していた、デジャ・ヴュだ。


ただ、亜弥さんはもう一人の自分の存在を許さなかった。
彼女はもう一人の自分を駆逐し、心の中で彼の占めていた領域を自分の色に全て染め上げた。


ライブが終了した時、自分の心は感動と充実感に満たされていた。