茶番劇


亜弥さんの「午後の紅茶」のCMを観た。


なんか、すっごいね。
こんなに雰囲気変わっちゃうんだ。


海岸で、晴れ晴れとした笑顔の亜弥さんは、
まるで山口智子さんのやう…。


少女のイメージを払拭した映像だった。


謀られたかな、もしかしたらってふっと浮かんだ。


大好きな彼に逢うために現れた亜弥さん。
似合わないサングラスをして、生活用品をたくさん持って、
そして、彼の住む建物に消えていった。


この演出にみんな騙されたんだ。


外国の推理小説にあっただろ。
走行中の列車の中で殺人事件が起こった。
でも、犯人に該当する人物は誰もいなかった。
それは、その列車に乗り合わせた全員が犯人だったから。


アイドルのイメージが邪魔だった。
松浦亜弥を次の段階に進めるためには人形は人間になる必要があった。


そして、壮大な茶番劇が計画された。


主役は以前より噂のあった男性の住む建物に消え数時間後に再び現れる。
マスコミは脇役となり、その事を思う存分騒ぎ立て速やかに沈黙する。
彼女を知るもの、つまり、観客はその情報にまんまと踊らされてしまった。


効果は絶大だった。
世の中のすべてが松浦亜弥をアイドルと看做さなくなった。


亜弥さんの願いは成就した。
彼女はこれで正真正銘の歌手になれたのさ。