幻視


誰かに書かされている気がして少し恐くなってきたおじさんです。
今までいくつか物語を妄想したのですが、最終的にどれも繋がりそうな気がしてきました。
能子姫の物語がひとり歩きをし始めています。
いやはや…。


興味のない方は軽くスルーしちゃってください。
(これもお約束になってきました。)


…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・


知らない風景だった。
自分は電車に乗っていたはずだった、都心に向かう電車だ。
少し眩暈がした、そして気づいたらここにいた。


ここは都会らしさがない。
というより、まるで時代劇をみているような錯覚を覚える。
道行くひとの格好がみんな時代がかっているのだ。


ここがどこか訊ねてみようと思って声をかけてみた。
けれど、誰も自分に取り合ってくれない。
シカトされたと最初は思ったがそうでないことがわかった。
私が見えていないのだ。


空が茜色に染まってとても綺麗だ。
真希はそう思った。
こんな状況なのに暢気なことと自分がおかしくなった。


どこに行こうと思ったわけではない。
ひとの流れにまかせて街道を歩いた。
いくらも行かないうちにひとの数が増えて賑やかになった。
どうやら街に入ったようだ、広い屋敷が軒を連ねるようになった。


歩いていくうちに一際大きな屋敷に行き着いた、大層な門が見える。
それまで気がつかなかったが、門の前に女のひとが立っていた。
歳は自分と同じくらいだろうか、着ているものからどこかのお姫様だと思える。
おそらく、この屋敷のひとなのだ。


少し不自然に感じた。
彼女がじっとこちらを見ている。
まるで自分に気づいているかのようだった。


   「ふう…。」


ため息をついた。
ありえない、今までのひとは誰も自分に気づいてはくれなかった。
真希はきびすを返しその場を立ち去ろうとした。


   「真希さま。」
   「え!」


真希は驚いた。
とっさに振り向いていた。
このひとは本当にわたしのことが見えているのだ。


   「真希さま、よくぞ来てくださいました。」


真希は戸惑った。
こんなところに来たくて来たわけじゃない。


   「あのう…。」
   「申し訳ありませぬ、わたしがお呼びしたのです。
    真希さまにどうしても伝えなければならないことがありましたゆえ。」


真希は混乱した。
一体どうなっているのかわからない。
このひとが誰で、ここがどこで、自分に何が起こっているのか。
自分をわかってくれる相手がやっと見つかって抑えていた気持ちが一気に噴出したのだ。


   「アンタ誰?」


突っかかった。
そんなことを言うつもりはなかったのに無性に腹が立った。


   「三条と申します。」


これが彼女との出逢いだった。
そして、この出逢いが真希の生き方を変えていく。
人類の命運を分ける戦いが始まろうとしていた。


…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・


能子姫のみならず、亜弥さん、ソニンさん、そして真希さんが登場してどんどん役者が揃っていきます。
次は誰なんだろう、なっちさんかなあ。


どういう展開になるのかその時にならないとわからないですがだんだん愉快になってきました。
乞うご期待です。w