R.P.G.

悲しい、せつない物語でした。
父親は娘を愛しすぎたのです。


父親の目から見た彼女は、幼い日のままの、少女のままの女の子で、父親のことを全面的に信頼し
何事も打ち明けてくれる。そんな存在でした。
それが、いつの頃からか何も話してくれなくなり、秘密が増え、自分の知っている少女とは違う
存在になってしまった。


父親は認めたくなかった。
何とかして娘に自分の方を向かせようとした。
娘の変貌を外界からの干渉が原因だと思い込み排除しようとした。
少女の頃の娘に戻ってほしいと考え行動した。
そうすれば、そうするほど、娘は父親から離れていった。


ネットの世界というのは表面上のふれあいなので自分の願望が叶ったりするのですね。
その内容を娘に覗かれてしまった事から悲劇がはじまった。


わたしはこのドラマを観ながら涙が止まりませんでした。
以前、観たモーニング娘。の映画「ナマタマゴ」のごっちんの演技を思い出していました。


後藤真希は、こういう役が上手ですね。
何も語らず、つっぱって、全部ひとりで背負い込んで。


つらい、痛々しい。
演技らしい演技をしなくても、椅子に座って視線を逸らすだけ、うつむくだけ、ため息をつくだけで
そんな気持ちにさせられる。
松浦亜弥とは表現方法が違いますが、ごっちんあややに負けないくらいの才能があると思います。


わたしは、伊東四郎さん扮する刑事さんが犯人を落とすために3分のリミットを宣言した場面から、
ごっちんが自供し始めるまでの彼女の表情の変化が忘れられません。
瞳が虚ろになって、表情がなくなって、無表情なはずなのに彼女の心の葛藤が痛いほどこちらに
伝わってきました。


ドラマだったのが残念だった。
是非、映画として残してほしい演技だと思いました。


あと、思ったのは彼女の周りを固める名優さん方の凄さですね。


父親役の伊武雅刀さん。
溺愛している娘の気持ちが見えなくなってしまった父親の心情って、最愛の彼女の気持ちが掴めなく
なってしまった彼氏の心情と似通っていて、相手の事を極端にしか考えられなくなるんです。
相手が望んでいない事でも、自分がそれでいいと思うと行動してしまうし、そうする事が相手の
ためだと信じてかけらも疑わなくなってしまう。
狂ってしまう、違う言い方をすれば鬼になってしまうんです。
彼は狂気を演じさせたら定評のある俳優さんです。
宇宙戦艦ヤマトデスラー総統も彼でしたが、やはり狂気のひとでした)


刑事役の伊東四郎さん
コメディの世界の彼はよく観るのですが、マジ演技をする彼はなかなか観られません。
すごい!の一言でした。
マジックミラー越しにごっちんを睨んだ眼光の鋭さがとても印象に残りました。
背筋がゾクゾクしました。


女刑事役の風吹ジュンさん
子供を叱咤激励する肝っ玉母さんじゃなく、子供に何があっても後ろで微笑みながら、泣きながら
子供と一緒に問題に立ち向かっていく。
そんな演技は彼女のハマり役ですね。


嶋田久作さん(検察のエライさんでしたっけ)
役職というのは演技の前に声色で表現するものなのです。
エライさんだなぁというトーン、話し方、それすらも演技なのですね。
そんな事を感じさせてくれました。
(このひと、映画「帝都物語」で魔人加藤保憲を演じたすごい方なんです)


ごっちんはこのドラマの脚本を読んだ時に泣けてしまったとコメントしています。
おそらく、彼女が脚本を読んで泣いてしまう作品ってすごく出来がいいのだと思います。
(そういえば、ごっちんは今回演じるミュージカルの台本読んだ時も泣けたっていってませんでしたっけ
なら、今回のミュージカルかなり期待していいですね)



…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・
余談ですが、あややごっちんの感想を一度にしなかったのは訳がありました。
書き込みが悲しいほど長くなってしまう事もあるのですが、本当のところはあややのドラマの
感想が薄くなってしまう事を避けるためでした。
感情をごっちんの演技に持っていかれてしまって、あややのドラマの感想をちゃんと書けそうも
なかったからです。
何とかうまくまとめる事が出来ました。
二日に渡りわたしの書き込みに付き合って頂いて有難うございました。