想いあふれて。

亜弥さんが歌ってくれるならどんな曲だって絶賛という感覚になれません。
彼女の歌声に惹かれる気持ちと曲についての趣向は全く別だからです。
そう云いながら何回も聴いてみます。
それによって見えてくるものがあるはずだからです。
曲作りが分業されれば雰囲気の似た曲が重なってしまうのは仕方が無いことです。
つんく♂さんの場合、似たような曲を含めないよう意識したアルバム作りがされていました。
そういった心遣いに当時気づけなかった不甲斐なさを申し訳なく思いました。
亜弥さんが歌う大人らしさは喩えれば少女マンガのようですね。
彼が好きでたまらない、ずっと近くにいたいという心情ばかりで背景が真っ白だからです。
お風呂に入っている場面だとか、出かける前にお化粧をしている場面だとか、場面を伝えるものが歌詞に織り交ぜられていないから聴くものに明確なイメージが伝わりません。
そんな中で最も惹かれた曲は「中央改札」でした。
若かりし頃の恋愛、彼との別れ、そして再会。
そういった場面が歌詞の中にしっかり描かれているのでドラマを観ているかのように感情移入できます。
着目したいのは、大人らしさを意識して歌われた曲ばかりの中で唯一アイドルだった頃の歌声で歌っている部分です。
それが懐かしいというか、切ないというか。
長い時間をかけて自分の中に形成されていった彼女のイメージがそんな風に感じさせるのかもしれないですね。