Rock'n Buono!

憧れのユニットに入って歌いたい。
ハロプロの女の子たちはそうやってアイドルの仲間入りをしたと思う。
アイドルになりたいのであればそれでいい。
夜空を染め上げる打ち上げ花火のように綺麗に咲いて潔く散ればいいのだから。
だけど、歌手にになりたいのなら、デビューは一つの到達点でなければならないはず。
歌いたいという漠然な想いだけではなく、どんな歌手になりたいかという具体的なイメージを浮かべなくてはならない。
ハロプロを学び舎に新しい未来を目指して欲しいというつんく♂さんの言葉を深刻に受け止めた女の子がどれだけ居ただろうか。
人気の低下が肌で感じられるようになり矢面に立たされてやっと思案し始める、そんな女の子ばかりだったと思う。
ハロプロがアイドル集団として成り立ってきた理由は自分の未来について具体的なビジョンを描いている女の子がいなかったからなんだよね。
市井さんが自分の志を全う出来ていたのなら彼女の生き方を理想にして追従しようとする女の子が現れていたかも。
Buono!ハロプロに変革をもたらす種子だと思う。
体調も、ペース配分もお構いなしに自分たちが遣りたい音楽を放出できるステージ。
会場の雰囲気に身をゆだね、心の底からメッセージを送り続ける三人。
歌いたいという強い衝動が全てで声がかすれて出ていない事にも気づかない。
なのに、彼女たちの歌声はちゃんと観客の心に届いていたんです。
観客はコブシを高く挙げ、彼女たちの歌声に、会場を席巻する音楽に合せて跳躍を繰り返す、振りコピなんてぬるいものが介在出来ない空間がありました。
ロックしているか、していないか。
それは他人に決められることじゃないという事を三人は今回のライブで体感したでしょう。
桃子ちゃん、雅ちゃん、愛理ちゃんにとってBuono!は出発点です。
“バンドを組みたい。”
“ライブがしたい。”
その願いが一年の歳月を経て達成されたように。
“武道館でライブがしたい。”
というのも満更ネタで終わらないかもしれない。
ユニットを船に喩えるなら構成するメンバーは乗組員ということになります。
今迄のユニットは自動操縦にまかせて大海を漂っているに過ぎませんでした。
これからのユニットは航路を乗組員(メンバー)に決定させたらいい。
そうすれば彼女たちは自分たちが遣りたかった音楽にのせて心からメッセージを届ける事が出来ます。
その意識が女の子たちに定着した時、ハロプロに新しい時代が訪れると思います。