情熱

自分は亜弥さんについてクールだと思っていた。
もともと、アイドルを情熱にまかせて追いかける性質じゃなかったし。
ライブ行って周囲が盛り上がっていてもタイガー決め込んでいる人種だったからね。


でも、そうじゃないって近頃気づいている。


亜弥さんについて些細な中傷が書かれているだけでも反応しちゃうし、
自分の書き込みを読み返してみると呆れるくらい必死だし。
もう若くないのに、バカだねえ…。


亜弥さんについて自分がクールなのは、
我が子のような感覚で観ているからだと思っていた時期もあった。
でも、それだったらもっと必死であってもいいんじゃないのって思い始めた。


亜弥さんは少し前までアイドル・サイボーグと言われていた。
つまり、それが答えだったんだ。
自分にとってお気に入りの人形だったからクールに見ていられた。


でも、彼女は人形なんかじゃなかったよ、
年齢相応のか弱い女の子だったんだ。


だから、我慢できなくなった。
亜弥さんについて本気になれるようになった。