ブラックジャックによろしく

医者の見習いが本物の医者に成長していく過程というのは、
患者を人間ではなく物に見立てられるかという事だと思うのです。


瀕死の状態の患者が複数いたとします。
医者見習いの斉藤先生ならどちらも助けようと奮闘するでしょう。
でも、それではどちらも助からない確率が高くなるのです。


本物の医者であれば、助かる確率の高い方を助ける。
もしくは、助かる確率の高い患者を他の病院に依頼します。
この瞬間が大切な患者に全力を尽そうと考えるためです。
そういった判断は、患者を物に見立てなければできません。


斉藤先生は患者を人間として見てしまうから必死になってしまうのです。
斉藤先生の場合は、情熱だけが先行してしまって自分の能力を考えて
いません。
彼の勝手な判断で患者を受け入れてしまうため、他の医師にしわ寄せが
いってしまうのですね。
周りの医師に煙たがられるのは当然です。


されど…


斉藤先生は医者として正しい道を進んでいるといえます。
自分の能力を超えるような場合を除き、医者は患者を人間として
治療するべきです。


いつでも患者の事を物に見立てて治療している医者がいます。
根本的な事が身についていない医者がいます。


斉藤先生は、将来名医になるでしょう。
もしかしたら、医者の本分は患者に教わるものなのかもしれません。