女優

能子姫の僅か何秒間の映像に、一途さや、切実さみたいなものが凝縮されていた。


寂しげだと感じた。
もしかしたら本人はそれを演ずるつもりじゃなかったのかもしれない。
唇をまっすぐ結んでうつむく表情が悲しく映ったのだ。


されど、それを表に出さない強さみたいなものも伝わって来る。
それが入り混じるから胸を切なくさせる。


それが、後藤真希がずっとやってきた演技だと思っている。


真希さんが女優をしなかったなら、
自分は未だに彼女の事を認めていなかったと思う。


何故なら、彼女のそんな悲しい表情に自分は惚れたのだから。