宿命
久方ぶりの妄想です。(そんなに久しくないか)
妄想だけ別の場所に移すとか言っておきながらまだ出来ていません。
今回は能子姫の時代に飛ばされた真希さんの話の続きです。
いつも通り興味のない方は、かる〜くスルー願います。
…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・
真希は三条の寝所にいた。
屋敷の門を通りかかったところを彼女に呼び止められてここに連れてこられたのだ。
「兄様がいなくなりました。」
真希はやはり美しいと思った、このひとは姫なのだ。
「義経という名をご存知でしょうか。」
聞き覚えがあった。
確か歴史の授業でそんな名前が出てきたような気がする。
「そのひとがあなたのお兄さんなの?」
「ええ、兄様は朝敵の汚名をきせられ自刃して果てられたと聞いておりますが決してそのようなことはございません。
もしそれが実であるなら知らせがあるはずなのです。」
「連絡のひとがサボっているとかじゃ。」
「それが…兄様に連れ添わせた式の気配も一緒に消えてしまったのです。」
それはお気の毒にと真希は思った。
「血眼になって行方を探っていたところ、やっと式の気配を捉えることが叶い呼び戻ました。」
「で、お兄さんは生きていたの?」
「わたしの放った式は魔に変えられておりました。
式を捕らえ思念を読んでみたところ、どうやら兄様は魔に魅入られたようです、冥府の軍を率いて時を越えておりました。」
「お兄さんは生きていたのね、何だかよくわからないけどよかったじゃない。」
「よくないのです、冥府の軍の出現は地獄の門が開いたことを意味します、現世との隔たりがなくなれば現世は魔の思いのままにされてしまう。」
自分の範疇を超えた話だったが事態が最悪な事は真希にも感じ取れた。
「で、お兄さんはどこにいるの?」
「それが…真希様の世に。」
「わ、わたしの時代ですって!」
「ですから、あなた様をお呼びしたのでございます。」
魔となった義経が時空を越え自分の世界にいるという。
この世を地獄に変えるために。
「でも、どうしろって言うの、わたし何もできないよ。」
三条は微笑んだ。
「いいえ、真希様には出来るのです、あなた様はわたしなのですから。」
「な、何を言ってるの?」
「ですから、真希様はわたしの生まれ変わりなのです、それ故、あなた様をこちらへお呼びする事ができました。」
「えええっ…。」
「あなた様は魔を滅する力を、わが一族の通力を使うことができるのです。」
「で、でも、そんなのやった事ないしい。」
「心配はいりませぬ、肝要な時は真希様の思念を借りてわたしが助けます、あなた様は通力を願ってくださればよいのです。
真希様はひとりではございません、あなた様の他にも宿命を背負ったものが幾人か転生しております、その者たちと力を合わせて兄様を止めてくださいませ。」
冗談じゃない、やりたい事をやって毎日お気楽にすごすのが自分のやり方だった、そんなの柄じゃないのだ。
真希の心の葛藤など三条は全く意に返してないように思えた。
「これをお持ちください。」
三条の手に能管が握られていた。
「兄様を止められるのは、おそらくあの方しかいますまい。
あの方が転生されておられればこの笛の音によって素性を思い出してもらえるはず、これは兄様の笛ですから。」
三条は真希に能管を手渡した。
「途方に暮れることはございません、われらの通力は魔を引き寄せまする故、それを追ってお仲間ともじきにめぐり合う事になりましょう、よしなにお願い申します。」
「ち、ちょっと待ってよおお………。」
急激に真希の意識が遠のく。
三条が真希をもとの世界に送り返したのだった。
…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・…・
前回のソニンさんに続いて、真希さんの正体も明らかになりました。
まあ、これは予想の範疇でしたが。
亜弥さんの正体については、多分あのひとだろうなあって思っています。
まだ、わからないですけれどね。
前回、義経はソニンさんの中に眠る巴を覚醒させました。
そのまま叩いてしまえばよかったのにねえ、彼はいったい何を思っているのだろう…。
追々それも知らされる事となるでしょうが今の段階では見えません。
語り部に徹することにしましょうかね。w