ドライブ

何の因果か亜弥さんを愛車の助手席に座らせ一緒にドライブに出かける偶然を手に入れたと想定してみる。
(そんなの絶対ありえないし、こんな妄想をしている自体が書くネタのないことを露呈しているのだが)


自分は何か特別なことを彼女にしてあげられるだろうか。
多分、何もしない。
ごく普通に、どんな場所に行ってみたいか聞いて自動車を発進させる。
”おまかせします。”などど言われたら困っちまうが…。


我ながら気の利かないつまらん男だと思う。
されど、この気の利かない男に気を使わせようとすれば、さらにつまらん男に成り下がってしまう。
何か話さなければと思うあまり、ちっとも面白くもない話をし始めるから。
だったら、実のある必要最小限だけ話して黙っていたほうがいいと思う。
それでも、彼女と一緒に流れていく景色など見ているうちに饒舌になってしまうのだよ、年齢も忘れてね。


多分、自分なら郊外に連れて行くと思う、雑踏は嫌いだから。
海なんかいいな…。
彼女が楽しんでくれればそれでいいと思っている。
自分は素の彼女を少しでも感じられればそれでいいと思っている。


空想のなかで自分は亜弥さんを超アイドルと意識していない。
普通の女の子として話し掛けている。
こんな気持ちでは近しい間柄にはなりようがないなァ、それでもいいか。w


一日語り合って、彼女を乗せた場所に戻ってくる。
ドライブのお礼を言いながら助手席を下りる亜弥さん。
そして、窓越しに微笑みながら手を振る彼女に会釈してひとりで走り出す。
それで終わり、それぐらいが相応だと思う。


普通の女の子として彼女に接してあげたい、それが彼女にとって大切だと思えるから。