愛情イッポン! - 存在理由 -

例えば、会社から役割を任せられたとします。
本人は自己評価すればそんな器量などないと思っています。
されど断れる理由もなく不本意ながら役割をこなしていく事となりました。


必死、がむしゃらにやったわけです。
弱音を吐く余裕もないほどの多忙さはいつしかそれを遣り甲斐に変えていました。


ある日、別の部署からひとが回されて来ます。
役職付きで人柄もよい方でした。
当然、みんなの期待がそのひとに集まります。


仕事が引き継がれて、自分は今までの目が回るほどの多忙さからいきなり開放される事となりました。
そして、その瞬間から浮いた存在となったのです。
いや、自分がそう感じているだけです。
自分のその気持ちに周囲は一切気づいていません。
何故なら、自分の環境は全く変わってしまったのですが、その他のひとの環境は、
指示を仰ぐ対称が変わっただけで全く変わってないからです。


そして自分だけが寂しくなっていきます。


この例え、実はわたしの実体験です。
だから、巴さんの気持ちが痛いほど伝わってきました。


ひとは誰でも他人に褒められたり、頼られたりすればうれしいものです。
自分が必要とされていると思えるからです。
それを存在価値とか、存在理由というのでしょう。


巴さんの寂しさに周囲のひと達が気づいた時、みんなは彼女を慰めようとします。
でも、それは逆に彼女を傷つける事なのです。
だって、父親が指導するのが正当だという事を一番わかっているは自分だからです。


巴さんは頑なになっていました。
その気持ちを開かせたのは定岡くん(子役)でした。
小細工をせず、素直に気づいてあげられなかった事を詫びたのです。


偶然、川原でいじめっこが男の子をからかっていました。


  ”いじめられているコを見たら助けに行く?
   それとも、見て見ぬふりをする?”


定岡くんは巴さんに試されます。


  ”助けに行く。”


彼は答えました。


  ”でも、喧嘩になるよ、そしたらどうする?”


巴さんはさらに問います。


  ”闘う。”


彼は即座に答えます。


  ”正平先生に見つかったら柔道やめさせられちゃうよ。”


巴さんは究極の問いを出しました。
定岡くんは少し躊躇した後、思い切って答えます。


  ”いいよ、
   でも、巴ねえちゃんは信じてくれるよね。
   ボクのこと、信じてくれるよね。”


巴さんの問いに彼は最高の解答をしました。


定岡くんのセリフ。
これはね、戦士が吐くセリフなのですよ。
あなたのために生命をかけて戦いましょう。
亜弥さん相手にそれと同意の事を彼は誓ったのです。
いいなあ、そういう男って憧れます。


定岡くんの心に触れることで、巴さんは気持ちを切り替える事が出来ました。
父親のような立派な指導者になりたいという自分の気持ちに気づきました。
そして、彼女は道場に帰ってきました。


トドくんの回に引き続き、今回も素晴らしい内容でした。
味わって観ろ、身体で感じろ!
そう言いたい内容でした。


追伸:
個人的には、巴さんの彼氏はトドくんであって欲しい。
そう思います。