愛情イッポン! - 錬金術 -

”夢の実現”って、言葉では簡単に言えますが、そんなに簡単じゃないんですよね。
無形である夢を、有形にするためにはそれだけのパワーがいります。


何もないところから、何かを作り出す技術を錬金術というのですが、
それでさえ全くの無から作り出しているわけじゃない。
全く違う性質のものから別のものを生み出しているためにそう見えるだけです。
(等価交換の原則云々って錬金術を扱ったアニメがありますよね)


普通のひとの場合、夢を有形にするために大抵お金を使います。
お金を食べさせれば夢がぜんぶ形を持てばいいのですが、
夢の大きさによって食べるお金の量(パワー)が違います。


おっちゃんの夢は砂金を当てる事でした。
地面に埋まっている類の夢はお金をたくさん食べます。
ちゃんと目算が立っていないのに手を出すとすぐ足りなくなってしまう。
おっちゃんもそうなってしまいました。


いつも夢を追い続けられればいいのですがそうもいきません。
充電期間(夢に食べさせるお金を蓄える期間)は必要です。


それが待てないひとは出資者を募るわけです。
それも出来ないひとはお金を借ります。


お金はなるべくならば借りない方がいいです。


お金を借りると生活が返済中心の考え方になります。
定期的にお金が入ってくればいいのですが、それがないと、
どうやって工面しようかそればかりが頭の中を巡るようになります。


お金のためならプライドなんて簡単に捨てられるようになる。
恥も外聞も気にならなくなる。
それに反比例して周囲の自分に対する評価は失墜していくのです。


何も考えられなくなったおっちゃんは巴たんの通帳に手を出してしまいました。


”そういえば、わたしが通帳をそこに置いたんだった。”
今迄、通帳の存在も知らなかった巴たんがそう言い出した時にはさすがに唖然としました。
されど、おっちゃんの夢はみんなの活力でもあったのです。


夏八木親子の温情のおかげでおっちゃんは窮地を脱しました。
巴たんのためにお母さんが貯めた貯金はおっちゃんの夢に食べられてしまいました。


”働かざるもの食うべからず”
おっちゃんの奥さんが最期に言った格言は日常頻繁に使われていますが、
実はとても重たい言葉なのです。