愛情イッポン! - うそ -

ちびノリだーこと、轟くんには秘密がありました。
彼は黒帯を着けていたのですが、本当は有段者ではなかったのです。


バレなかったら誰も傷つかない事ってあります。
彼のウソもそうでした。
それが思いもよらないところからあっさりバラされる。


それを聞いた巴さんは彼を許しませんでした。
彼を慕っていた子供たちを騙していた事が許せなかったのです。


轟くんは、巴さんの事が好きになってしまっていました。
病気で臥せっている彼女の部屋に忍び込み、道場の心配はいらないと告げ、
ついでに、"好きだ。”と告白してしまいます。


その巴さんに糾弾されて、彼としてみれば道場に居り続けられるハズがありません。
道場を出て二度と柔道をやらない決心をします。


大切な瞬間には、その場に必要だと思われる人間が全て集められますよねえ。
不思議なんですけれど、ドラマじゃなくても日常でもそれを感じます。


正平(巴の父親)、武(正平のライバル)、杉作(居酒屋の主)、もっちゃん、そして、巴。
ライバルの道場主である武や、居酒屋の主である杉作が、偶然その場に居合わせるなんて絶対ありえませんから。


轟くんが自分がウソをついていた事を正平に告白し始めた時、必死になって彼をかばったのはもっちゃんでした。
もっちゃんにとって轟くんはある意味ライバルだったにも関わらずです。


それを聞いた正平は轟くんを道場に呼びます。
武、杉作はうなづき、正平のあとに続きます。


言葉なんかいらないのです。
この場にいる全員が轟くんと同じ道を辿って来たから。
彼と同じ気持ちで頑張り、段を目指し、勝ち取ってきた面々だったからです。


当然の如く、轟くんは正平に投げ飛ばされます。
何度も、何度も、無理やり立たされ投げられます。
武、杉作、もっちゃんは厳しい表情で投げられる彼を見据え、叱咤激励します。
轟くんの萎縮してしまった心を発奮させるためです。
それでも、それでも彼はただ投げられるままでした。


道場の外では一部始終を巴さんが聞いていました。
感極まって泣き始めた彼女は、轟くんに語りかけます。
”あなたがいなかったら、わたしはやってこれなかった。
 戻ってきてほしい”と。


その時、いい顔で笑うんですよ、轟くんが。


わたしにとって、彼はちびノリだーの頃の印象が強かったのですが、彼をそう表現するのは失礼ですね、彼はこんなにも成長していたのです。


今回の見せ場は、轟くんの笑顔と、巴さんの泣き顔の切り替えでした。
話の流れ上、巴さんも好きだと言い出しかねなくてドキドキしながら見守っていたのですが、さすがにそこまではなかったです。
でも、このふたりが何かとてもお似合いな気がしたのはわたしだけでしょうか。


轟くんは子供たちを集めて本当の事を打ち明けます。


少しの間の後、”何だ、そんな事かよ。”と反応がありました。
今回もつっぱり役の女の子に救われましたね。
彼女って本当にいい演技をするんだなあって関心しました。


子供たちが、巴さんの事を案じ、母親の思い出の詰まった自転車をフリーマーケットで売ってしまう話も同時進行していたのですが、そちらがかすんでしまっていました。


本当に贅沢な1話でした。
感無量でした。