雄姿

今年のFNS27時間を振り返り思う。
おそらく今年のような盛り上がりはもう二度とないのではなかろうかと。


27時間不眠で頑張り続ける。
岡村隆史さんのような無茶の出来るオトコを他に思い浮かべてみるが該当者がいない。
そもそも、彼ぐらいの知名度を持ち、彼ほどのパフォーマンスを披露出来る人間などそうそういないのだ。


他人に笑ってもらう事を生業にする芸人さんに二通りあると思う。
自分以外の誰かを道化に仕立てて笑いをもらう者と、自分が道化になりきって笑いを勝ち取る者だ。


前者の場合、道化役を演じるのは自分よりも知名度の少ない芸人さん、つまり弱者だ。
これは観ていてかなり痛い。
こちらが痛むのは心だが、実際にやらされている芸人さんは肉体的に痛い。
(この世界ではこれをオイシイというそうだ)


後者の場合は、笑いを他人まかせにしない。
自分の行動をすべて笑いに結びつけようと努力するタイプだ。
他人に何かをさせるわけではないから観ている側に爽快感が生まれる。


岡村さんの場合は後者に属すると思っている。


彼の演出する笑いにはいつも謎がある。
観るものに何かを訴えかけているように思える。
今回の27時間はそれがありありと感じられた。


”毒を吐くわけじゃないが、去年の27時間は少しも感動しなかった。”
彼が放送中に漏らした言葉だ。


岡村さんは他人に楽しんでもらう番組ではなく、自分が楽しめる番組を制作しようとしたのではないのだろうか。
だから、眠らなかった。
というよりも、楽しいから眠気など起こらないというのを目論んだ。
そういう番組を企画し、成功させた。
彼はそういう思考をするオトコであるような気がする。


ある意味、岡村隆史という人物は面白いのだ。
モーニング娘。が生まれた当時、つんく♂さんは彼に聴いてもらう事を想定して娘。の曲作りをした。
つんく♂流に言えば、岡村隆史に突き動かされるほどのロックを感じたのだ。


映画を観終わった後に、映画の主人公になりきったり、感化されて何かをしてみたいとか思った事があると思う。
彼の雄姿をみて自分はそれと同種の感覚を味わった。
彼がテレビを通じて言いたかった何かを自分はしっかり受け止めることが出来た気がした。