正義の意味

meiqoo2003-09-14



子供のころ憧れたヒーローたち。


   仮面ライダー
   ウルトラマン
   歴代超人戦隊の面々


名をあげればキリがないほどの数になる。
超人、悪魔、神、異星人、それぞれが持ち合わせた能力を武器に
敵勢力を壊滅させていく。


戦う理由、大義名分。
往年のヒーローたちが掲げてきたのは”勧善懲悪”だった。
自分が正義で相手は悪なのだ。
まだ幼かったころの自分はそれを信じて疑わなかった。
しかし、そんな理念を根底から覆すヒーローが出現する。


   無敵超人ザンボット3


富野喜幸安彦良和コンビによる日本サンライズのアニメである。
ガイゾック星人に自分の星を滅ぼされ地球に移住した異星人の一族の物語。
自分の星を滅ぼしたガイゾックが地球に現れ、異星人の一族は地球を守るために
巨大ロボットで立ち向かう。


お約束である。
しかし、ここからが違う。


地球人は彼らの戦いに感謝しないのである。
彼らが移住して来たために地球が狙われたと思い込み逆に非難を始める。


ひとり、またひとりと死んでいく仲間。
最終回。


   おまえたちは何故戦っている…
   誰かに守ってくれといわれたのか…
   おまえたちに感謝してくれるものがいるのか…


ガイゾックの司令官(人工知能)に問われる主人公。
問いのひとつひとつが主人公の心につきささる。
主人公は疎んじられていた。それでも地球を守るために戦ってきたのだ。


さらに凄いのは、敵ガイゾックにしても”悪ではなかった。”という設定だ。
ガイゾックは宇宙を監視し宇宙的に危険と判断した生物を排除する目的で
作られた機械だった。悪は地球側だったのだ。
まさに、大どんでん返しである。


少年時代のわたしは、この事を今まで応援してきたヒーローたちに照らして
しまった。
往年のヒーローたちも誰にも頼まれず、自分の想いだけを理由に敵対勢力と
戦っていた事に気づいてしまったのだ。


開眼。悟りを得た気持ちだった。
もう、昔の自分に戻れなくなっていた。


今にして思えば、わたしの思想、考え方はこのアニメにかなり影響されている。
当事者間の思惑はあっても正義なんてものは存在しないと思っている。
客観的に垣間見た多数がそれぞれの観点のもとに正義、悪を判断するのだ。


あほか、俺は!
何でこんな書き方をしている!
全体から見た正義を述べてどうするのだ!


正義とは…
もっと、純粋な定義ができる。


正義なんて自分が決めることなのだ。
率直に守りたいものがあるから戦うのである。
たぶん、正解だ。


今迄の記述を踏まえて自分の一推しヒーローを載せておく。


    黒川丈。
大迫純一氏著作、ハルキ・ノベルスから出版された小説の主人公である。


生物兵器に身体を食われたが首が切断されたため頭部だけが助かった主人公が
サイボーグとなり敵を追う。
敵役は、食われた自分の身体、自分自身と戦うのだ。
生物兵器は人間を食わなければ生きられない。
ヴァンパイアものと同じく見方を変えればどちらも正義となるのだ。


切ない。物悲しいヒーローを描いた物語である。
興味が湧いたなら読んで頂きたい。