なっち胎動。

なっちソロのPVを見た。

22歳の私/安倍なつみ


これは…バラードなのであろうか。


素晴らしい仕上がりには間違いない。

なっちの最初を飾る曲なのだ。
つんく♂さんがこの曲に本気を出したのは間違いない。


しかし…。


この娘は何故こんな表情をするのだろうか。
切なげで寂しげで…。


最初、軽い気持ちで出来を見るつもりだった。

それが…。


やられた。

感性を根こそぎもっていかれてしまう感覚。

PVを見終わって自分のなかに残ったものは、やるせない気持ち。
なっちの思いつめたような瞳の残像だけだった。


単純なバラードのようであり奥底になにか激しいものが見え隠れする。

これは…バラードなのであろうか。
歯切れの悪い書き出しはこの感覚のせいだ。


これが本来のなっちなのであろうか。


思うに、この感覚を醸せる娘をもう一人知っている。

松浦亜弥だ。

自分の領域のなかでありったけのパワーを凝縮させぶっつけてくる。
あの技だ。


ただ、あややとなっちには決定的な違いがある。
あややのパワーを躍動とすれば、なっちのパワーは静逸。


なっちもあややと同じ技を使い、しかもそのカラーは対極となれば、
完全に古巣であるモーニング娘。を食うことになる。


ここまで来て気付いた事がある。


つんく♂さんは初めからなっちをモーニング娘。としてではなく、
ソロとして考えていたのではないのだろうか。という事だ。


つんく♂さんは彼女の隠れた才能に気付いていた。
仲間を優先させてしまう彼女の性質がその邪魔をしている事も。

ただ、あややが駆使している世界を彼女に強いるにはまだ無理があった。
経験値を上げる必要があった。

なっちを独り立ちさせた時の反響についても未知数だった。
データが圧倒的に不足していたのだ。


そして、暗中模索しているつんく♂さんの前に松浦亜弥が現れる。


つんく♂さんはあややをテストケースにデータを収集していく。
そして、ノウハウをなっちに余すことなく注ぎ込んでいく。


そして期は熟し、今回のソロデビュー、娘。卒業となった
のではないか。


あややのノウハウを吸収し切ったなっちが、あややと同じ技を駆使できる
のは当然である。


では何故、あややが”動”でなっちが”静”なのか。
その理由は、多分、年齢差なのではないだろうか。


あややはスローバラードも平気でこなす。
一種の天才なのだ。


しかし、いくら彼女でも自分の年齢はこえられない。
バラードは大人をイメージさせる。
あややの若さからくる輝きが詞の拡がりの妨げとなるのだ。


今のなっちであればそれは全く問題にならない。
なっちの大人としての深みが曲をさらに引き立て輝かせるのだ。


なっちソロ、娘。卒業が仕組まれていると感じさせる不自然な動きが
あった。


  ①ミキティの今更の娘。参入。

    なっち無き後に娘。を引っ張っていけるリーダーが必要だった。

    もしかしたら、ミキティはなっちソロのためにわざとオーディシ
    ョンを落とされたのではないだろうか。
    その任を背負ったミキティにしてもこれは試練だったのだ。


  ②なっち卒業報告の大袈裟な演出。

    つんく♂さんは、今まで卒業した娘。達の時にこれほどの演出を
    した事はないはずである。

    この日を一番待ち望んでいたのはつんく♂さんだった。
    そう考えればこの騒ぎも納得できる。


来年、ハロープロジェクトはひとつの転機を迎える事になる。
そんな気がする。